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『ペッパーランチ』でO157による食中毒。「セルフ焼きハンバーグ」は加熱不十分に注意

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写真はイメージ。画像素材:PIXTA

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ステーキチェーン『ペッパーランチ』を運営する株式会社ホットパレットは11月1日、九州・山口エリアの一部店舗でハンバーグを食べた客から腸管出血性大腸菌O157が検出され、管轄の保健所から営業停止処分を受けたと発表した。食中毒事故の経緯と、ハンバーグなどミンチ類の調理における注意点を取り上げる。

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「特製ハンバーグ」を食べた客からO157検出される

10月14日から21日にかけて、『ペッパーランチ』でハンバーグを食べた客から下痢・嘔吐などの症状が相次いだ。11月1日現在報道されている体調不良者の発生状況は、鹿児島県、大分県、山口県の3県の4店舗で計11名、うち7名からO157が検出された。

広域で対象不良者が確認されたが、体調不良を訴えた客の共通食が、赤身が残るハンバーグを客自身が特殊鉄皿で焼きながら食べる「特製ハンバーグ」だった。4店舗のうち、3店舗の体調不良者から検出されたO157の遺伝子型が一致したことで食中毒事件だと断定。提供した3店舗は2〜4日間の営業停止処分を受けた。なお、体調不良を訴えていたものの「オプシアミスミ鹿児島店」で飲食した2名からは原因菌が検出されなかったため、同店は通常営業が続けられている。

現時点では感染源、感染経路は特定されていない。ただし、最終的な調理は店舗ごとだが、ハンバーグの製造は同じ工場で行っていたことはわかっている。同社は体調不良者の共通食である「特製ハンバーグ」を含め、すべてのハンバーグメニューの販売を29日から一時休止している。

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ひき肉料理は中心部まで火を通すことが重要。牛肉も「ミンチの半生」はNG

牛や豚などは解体処理の過程で、腸内にいる腸管出血性大腸菌(O157)やサルモネラのような病原性の細菌が肉や内臓に付着することがあるほか、牛や豚自体が人に害を与えるE型肝炎ウイルスなどに感染していることもある。このため、鮮度に関わらず、生や加熱不十分な肉を食すると、食中毒を引き起こす可能性があるのだ。

また、ひき肉に関しては、調理方法において特に気を付けたいポイントがある。厚生労働省のホームページでは、食中毒対策として以下のような注意喚起文を掲載している。

「メンチカツやハンバーグなどの生のひき肉から作られる製品は、動物の種類に関わらず、ひき肉に付着している病原体が中心部まで入ってしまいます。多くの病原体は75℃で1分間以上の加熱で死滅することから、中心部までしっかり火を通すことが重要です」

近年、ハンバーグをあえて生焼けの状態で提供し、食べる直前に客自身がしっかり焼き付けるという“セルフ仕上げ”のスタイルが人気を集めている。しかし、鮮度の良い牛肉なら、生焼けでも問題ないと思い込んでいる人は多い。また、生肉に触れた箸でそのままご飯を食べることや、生焼けの肉汁が染み込んだ付け合わせを食べることも食中毒のリスクを高める。こうした事故を引き起こさないためにも、飲食店は衛生管理を徹底するとともに、食べ方に関する客への注意喚起を徹底していきたい。

参考資料:厚生労働省「お肉はよく焼いて食べよう」

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岩﨑美帆

ライター: 岩﨑美帆

1982年生まれ。NPO活動に没頭した 大学時代、塾講師、広告営業を経て、フリーライターに。食・健康・医療など生と死を結ぶ一本線上にある分野に強い関心がある。紙媒体、Web媒体、書籍原稿などの執筆の他、さまざまな媒体の企画・構成の実績がある。好きな言葉は「Chase the Chance!」