採用内定が解禁、売り手市場での内定式

昭和産業が研修で天ぷらを作る体験型の内定式を行った。調理説明に見入る内定者ら=1日、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)
昭和産業が研修で天ぷらを作る体験型の内定式を行った。調理説明に見入る内定者ら=1日、東京都千代田区(寺河内美奈撮影)

 来春入社の大学生らに向けた採用内定が1日、主要企業で解禁され、各地で内定式が開かれた。売り手市場を意識してか、各企業は会社への愛着を深めてもらうプログラムを実施するなど、工夫を凝らした。

 36人が内定を得た製粉大手の昭和産業。同日午後2時過ぎ、東京都千代田区の本社会議室には香ばしいにおいが立ちこめた。同社が3年前から実施する「天ぷら研修」。経営トップらが自社製品を使った天ぷらの揚げ方を手ほどきした。

 「学生から社会人に、さくっと意識を衣替えしてほしい」。新妻一彦社長のあいさつで研修がスタート。内定者は7人程度に分かれ、油に具材を投入。内定者は「一緒にやると同期の性格も分かる。4月からはいいチームワークが築けそう」と話した。

 自由な髪形での参加を許可した東京海上日動火災保険の内定式には、約300人が思い思いの髪形で出席した。家庭用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が推進する「就活ヘアをもっと自由に」の取り組みに賛同するためで、中には金髪や茶髪の出席者も見られた。

 一方、競争環境が厳しさを増す携帯電話業界では、内定式でもトップの叱咤(しった)激励が飛んだ。NTTドコモ吉沢和弘社長は「今日、楽天が第4の携帯電話事業者として参入し、さらに競争が厳しくなる。挑戦心と行動力で進化に挑んでほしい」とハッパをかけた。

 就職情報会社マイナビによると、8月末時点の大学生と大学院生の内定率は82・6%で人手不足を背景に売り手市場が続く。経団連は会社説明会を3月1日、面接などの選考活動を6月1日に解禁する自主ルールを定めてきたが、昨秋に廃止を表明。令和3年入社からは、政府が現行日程の順守を要請している。

会員限定記事会員サービス詳細