トランスフォーマー コンボイの謎

登録日:2011/09/14 Wed 02:10:49
更新日:2024/04/18 Thu 14:49:35
所要時間:約 5 分で読めます




キーン キーン

テーテテーテー テレレレレー

テーテーテレテレテー…

ボーン!


画像出典:『トランスフォーマー コンボイの謎』 1986年12月5日
版権所有者:株式会社タカラ様

テーテテーテー テレレレレー

1986年12月5日、タカラからファミコンで発売されたゲーム。
Wiiのバーチャルコンソールでも配信されていたが、現在はバーチャルコンソール自体のサービス終了に伴い購入不可。

内容はオーソドックスな横スクロール(一部ステージで縦スクロールに変わる)で、操作方法は移動、変形、攻撃とシンプル。

当初玩具&アニメで人気になっていた「トランスフォーマー」をゲーム化した作品。

サイバトロンのシティーコマンダーであるウルトラマグナスを操作し、過去へ未来へ飛びながらデストロン軍団と戦うゲームである。

…なのだが、様々な理不尽な要素によりクソゲーと化した。


挙げられる要点として

  • ステージ1から殺しにかかって来る難易度

  • 敵の撃つ弾は2×2ドットで見にくい。現代のモニタ環境だとより見難い。

  • 最初からいきなり一撃では倒せないジェットロン。攻撃を当てるとトランスフォームして走ってくる。

  • おかげで初見の開始2秒で死ぬ事はもはや様式美。

  • ボスが弱すぎ。(ついでに言うと、その内3体はデストロンのエンブレム。意味不明。)

  • ブルーティカスとダイナザウラーのドット絵があんまり似てない。因みにダイナザウラーは特徴である頭部のカバーが開いてないせいもあって某ゴジュラスっぽくみえる。ただし、ダイナザウラーはオリジナルは黒基調カラーなのでボス面の真っ黒空間だと背景に紛れてしまう為のやむを得ない変更の可能性が高い。

  • 謎のTFですらないオリジナル敵が多数登場する一方、スタースクリームが赤一色(どっちかというと新生ジェットロンのスラストの方に似てる)だったり、ブリッツウイングが雑魚敵としてわらわら湧いてきたり、サウンドウェーブやデバスターなどの人気の有る目玉キャラが登場しなかったりとキャラの扱いが雑。

  • BGMの種類が少ない上にすぐループする

  • 縦スクロールステージは使い回しが多く、登るか下りるかの違いしかない。一応、これらはウルトラマグナスが時空移動に使うタイムトンネルという設定があるので一応筋が通ってはいて箱・説明書が揃った完品ならプレイヤーにもちゃんと伝わる。

  • ステージ9がマリオでいうループ面になっていて、そのルートは729通り。…攻略本か雑誌攻略記事が無いと無理ですよ

  • パッケージには「MYSTERY OF COMVOY」と英字でもタイトルが書かれているが、正しくは「MYSTERY OF CONVOY」。


…と色々なクソゲー要素が詰まってるが、致命的なバグや原作クラッシュなところはなくそこまでつまらない訳ではない。
理不尽な高難易度はこの時代のゲームにはよくあったことだし。

面ワープや隠しマップ、様々なアイテムが用意されていて、アクションゲームとしての要素はかなり高い。
操作性も優秀で、最初は避けるのが困難なエビや飛行機も慣れればそれなりに避ける事が出来るようになる
(結局は避けゲーだが)。
無理ゲーとはいうものの、9面のループを除けばそこまで絶望的な難易度というわけでもない。

トランスフォーマーの重要な要素である変形がゲームシステムにきちんと組み込まれ、
両形態を使い分けなければ先に進めないような局面が用意されているのも評価できる。


「謎」とは?

各ステージに隠されたアイテムを全て集めてゲームクリアすると、ロディマスコンボイが使えるようになる。
(そこ!色違いのマグナスとか言わない!)

これは、「TVに先駆けてコンボイに替わる司令官を知る事が出来る」という仕掛けだったらしい。
日本ではトランスフォーマー ザ・ムービーが2010の開始前に上映することができなかったため、
前作の主人公のコンボイが突然にロディマスコンボイに変わった理由が語られなかった。
その理由を説明するために「コンボイが死んだ!キャンペーン」という企画が展開され、
コンボイを殺した犯人と新司令官の名前を書いてタカラに送ると日本未発売のラナバウトのオモチャが貰えた。
そして、本作はそのキモとなるコンテンツだった訳だ。
つまり、コンボイの謎というのはコンボイの死と後継者の謎のことである。
……それにしたって、何故ラナバウトという微妙過ぎるキャラ(ザ・ムービーには影も形も無く、2010本編でも空気)をチョイスしたのかは謎だが。

ちなみに開発陣はザ・ムービー自体を視聴する事も資料にする事も出来なかった様でよくよく本作の内容を見てみると
「スクランブルシティ 発動編」準拠の設定・描写なのが分かる(頭部カバーが開いてないダイナザウラーや一般的には2010が初出扱いのカセットロン「ラットバット」が居るetc)。

しかし本作は発売延期によって2010の放送開始に発売が間に合わなかったため、
プレイする時点でみんなニューヒーローの正体は既に知っている状態であった。
そのうえ応募用紙の設問のシルエットもロディマスだった。
まぁ仮に間に合っていたとしても、この隠し要素に辿り着けたチビッ子がどれだけ居たのかはわからないが。

そして犯人は隠しゾーンで判明するとされていたが、その内容はメガトロンの顔が表示されるだけというもの。
応募用紙にダイナダウラーがコンボイを殺すイラストが描かれていたので、騙されたチビっ子も居たかもしれない


さらにはアイアンハイドやスタースクリームといった名物キャラの死や、
メガトロンガルバトロンに変わった理由、そしてユニクロンの事などの部分は全く説明はされない。

キャンペーンも終わり、無理ゲーとしての評判が独り歩きしている現在では「コンボイの謎が謎」とネタにされたり、
プレイヤーキャラがコンボイ(一応、元ネタのダイアクロン時代だと同系列機なので多少は仕方ないが)だと誤解されたりということもよく起こっている。




発売前プロモーションビデオ(ただし、玩具店用の商用プレゼンPVなので当時の一般人は見る事はできなかった)は
本製品と一部仕様が違う(というかほとんど全部)やら、政宗一成によるだいたい合ってない解説。
三回も強調されながら紹介されるデストロンマーク。ラスボスを紹介する。隠しキャラを実質バラすなど、販売する側用なのでやりたいほうだいだった。
PVで使用されたゲーム映像は敵もウルトラマグナスも無敵状態でお互い攻撃などを喰らっても平然としているというデバッグ用。
BGMも違っており、初代OPをイメージしたもので製品版よりも曲が長い

またCFに至ってはゲーム画面が一切映されず、
アニメの映像だけで作られていた。(こちらはまだコンボイの謎ではなかったので仕方のない面もあるが)



後に「トランスフォーマーオルタニティ」で実はその作品のメガトロンが過去に干渉し、
本作のデストロンが異常な力を持っていたという事実が明らかになった。
(ちなみにオルタニティは次元を超える攻撃が当たり前のトンデモな設定でメガトロンはこの時神にも等しい存在)

追ってきたコンボイにメガトロンはゲームを持ちかけた
コンボイが選んだ戦士…ウルトラマグナスが100回死ぬまでその世界の自分を倒せたら、
コンボイが持ちかけた、デストロンの新たな作戦についての「謎」に答えると。


うみねことか言ってはいけない


こんな出来だが、大人気タイトルであるトランスフォーマーのゲームである事や前述したキャンペーンが理由なのか61万本を売り上げている。
しかし、後述のキュートランスフォーマーのアニメにてロックダウンに「61万人を不幸にしたって事じゃねえか!」とバッサリ斬られた。



余談だが、タイトル画面でスタートボタンを押してゲームを開始する時、ボスを倒したときに画面が激しく点滅するようになっていた
(元祖ポケ○ンショック)


画像出典:『トランスフォーマー コンボイの謎』 1986年12月5日
版権所有者:株式会社タカラ様

閲覧注意
(黒→青→ピンク→赤の繰り返し)

だが、過去に配信されていたVC版では修正されているのでご安心を。

ちなみに、1秒に赤が何回現れるかの影響が大きいと言われており、
ポ○モンの点滅は秒間24フレームで2色を1フレーム毎なので秒間12回。
対してコンボイの謎の点滅は秒間30フレームで4色を2フレーム毎なので秒間3.75回。
現在のガイドラインでは秒間3回以内に抑えることになっており、元々の点滅でも少しガイドラインをはみ出す程度でしかなかったりした。


ちなみに、VC版時に「CERO:A(ホントに?)」「レッツトラウマ」「大きくなったからと言って子供のころよりうまくなっているとは限りません」などと
鬼畜な難易度は公式も認めてるようなことを言った。

また、クソゲーハンターとして名高いAVGNが初めてレビューしたアメリカ未発売のクソゲーはこれ。
「エンブレムターンの曲以外原作の音楽が無い」という間違った批判*1以外は
概ね的を射た内容であり、コモドール64のTFゲー(本作とはベクトルが違うがこちらもなかなかのクソゲー)との比較も交えて
「TFはほとんど関係ない」
「一体誰に売るつもりだったんだ」
「なぜ海外で売られなかったのかだって?こんなクソゲー誰も遊びたくないからだ!
などと相変わらずのナード節でメタクソにこきおろされた。


2014年、iOS・Androidアプリ「キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎」としてまさかのリメイク。
最初のプレイアブルキャラクターはオプティマスプライムとバンブルビーで、玩具シリーズ「キュートランスフォーマー」に封入された
シリアルコードを入力すると新しいキャラクターが手に入り、性能もそれぞれ異なる。
さらに各ステージのアイテムを集めてクリアするとウルトルマグナスカラーのオプティマス(要するに白コンボイ)が使えるようになる。
キャラは今のところ20体ほどが追加可能であり、この度のアップデートにてなんとコンボイ(オプティマスではない)やメガトロンも加わっている。

しかし、砕心の気配りのもと原作の鬼畜難易度をほぼ完全に再現している一方で、
スマホアプリとしての最適化を行った結果原作とはほぼ別物のランニングアクションゲームとなっており、
新規ファン層からはそこそこの支持を得ているのに対して原作を知る層からはすこぶる不評。
さらに死にゲーなのにスタミナ(しかも上限はたった8個)を導入したり、コンティニュー用アイテムのエネルゴンキューブが
基本的に課金でしか手に入らない心折設計も不満点としてあげられる。

さすがにこたえたか、その後難易度を下げた(ホイルジャックいわく「面白くない」)第0ステージが実装され、
アニメ準拠のウルトラマグナスがこのステージ限定ではあるが晴れてプレイヤーキャラとして使用可能になった。
ちなみにボスは原作には出してもらえなかったサウンドウェーブ。

キャッチコピーは「君はクリア出来るのか?一世を風靡した伝説の無理ゲー」であり、
公式サイトやPVで「カンタン操作で理不尽難易度」「クリア出来るものならしてみろ!」など、
公認を通り越して公式がネタにしてしまっている。

また、これとキュートランスフォーマーの宣伝用として同名のアニメがネット配信されている(現在は1話以外は閲覧不能)。
内容は某鷹の爪団を彷彿とさせるとさせるトーク主体のものだが、絵に描いたようなOP詐欺やパロネタ、メタ発言満載の内容、
細谷佳正演じる司令官の冴えわたるテンパり芸とオイル漏らし等が高く評価され、2期を望む声も多い。

…とかなんとか言っていたらホントに2期「キュートランスフォーマー さらなる人気者への道」がまさかの放送開始。
もうアプリの宣伝をする必要もなくなったので元祖は容赦なくクソゲー呼ばわりされて切り捨てられた
予算は3割ほど削られてしまったようだが、QTF特有のゆるいノリとオイル漏れは健在であり、
アドベンチャー熱も冷めやらぬTFファン達から歓待の声を持って迎え入れられた。




画像出典:『トランスフォーマー コンボイの謎』 1986年12月5日
版権所有者:株式会社タカラ様

KINKYU SHIREI

DESTRON GA ARATANA
CHIKARA DE YORI
KYOURYOKUNI YOMIGAETTA.
'RODIMUS' NO ENERUGON-
KYUBU WO TORI FUTATABI
DESTORON WO GEKIHA SEYO.

TSUIKI・SHUSEI! ULTRAMAGNUS!

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最終更新:2024年04月18日 14:49

*1 実際はタイトル画面で日本版主題歌のイントロが使われている。尤も、TFに限らず吹き替え版で使用される曲が海外では知名度が低いのはあるあるである。イタリア語版とかだとオリジナル曲が作られることが多くて特に顕著