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スパムメールは明日には 20 万通来るかもしれない。アプライアンスでは柔軟なサイジングができません。SaaS であれば、メンテナンスフリーに加えてそんな心配も全く無用。この選択は間違っていなかったと思いますね。

株式会社 ジェイティービー
JSS 基盤システム部
J-WEB グループマネージャー
内藤 邦彦様

導入製品

Google Postini Services

会社概要

ジェイティービーグループを統括する持株会社。国内の旅行店舗は 1000 店、「ルックJTB」(海外旅行)、「エースJTB」(国内旅行)、「旅物語」(メディア型直販商品、海外旅行・国内旅行)といったパッケージツアーの企画のほか、「時刻表」や「るるぶ」などの雑誌を発行する出版業、ホテルや不動産、情報サービス業などの国内海外 181 社のグループ会社を統括している。1912 年創業、1963 年(株)日本交通公社設立。2001 年(株)ジェイティービーに社名変更、2006 年持株会社制に移行。

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株式会社 ジェイティービー

Google Message Filtering でスパムメールをほぼ完全に駆逐。
90% を超える高いユーザー満足と大きな経済効果を実現。

実ユーザー数は約 1 万 2500 人

日本を代表する旅行会社であるジェイティービー(JTB)は、2007 年11 月、スパムメール対策として Google Postini Services の一つ、Google Message Filtering を導入した。その数 13000 アカウント、実ユーザー数は約 1 万 2500 人にのぼるという大規模な導入事例である。その成果は、導入前は受信メールのおよそ 85% も占めていたスパムメールが、導入後はほとんどゼロになるという劇的なもの。

「社員の満足度調査で、90% 以上が『満足している』という回答でした」と、JTB メールシステムの運用及び今回の導入を手がけた株式会社 JTB情報システム(JSS)の基盤システム部 J-WEB グループアシスタントマネージャーである二子石 恭寛氏は言う。同社は、JTB の基幹システム及びグループ会社の情報システムの構築・運用を一手に担う中核的存在である。

「配信不能」で溜まるリプライメールが毎日約1万通

同社がスパムメールに悩まされ始めたのは 2006 年ごろのこと。実在しないアドレスに当てたメールを受信すると、サーバーは自動的に発信者に「配信不能」のリプライメールを返すが、スパムメールの発信者のアドレスが贋物であるために送信できないリプライメールがサーバーに溜まるようになり、本来の業務メールが度々遅延する状況となった。

「朝出社すると 1 万通くらい溜まっており、それを 1、2 時間かけて削除するという状態でした」と二子石氏。JTB 社員からも「スパムメールの多さに困っている。何とかならないか」というクレームが寄せられていた。もちろん、JSS は手をこまねいていたわけではない。同社は 2006 年 7 月、東京都多摩市に設置しているデータセンターのメールサーバーに、とあるフィルタリングソフトを導入した。

「JTB がそのメーカーのライセンスを持っており、追加料金を支払う必要がなく利用可能というのが主な理由でした」と JSS の基盤システム部 J-WEB グループマネージャーの内藤 邦彦氏は言う。ただし、その際にはそのソフトを稼動させるのに必要なスペックを満たすためにサーバーを入れ替える必要が生じ、約 500 万円というハード本体および入れ替え作業の費用が発生した。「ハードウェアの保守切れが近づいており買い換える良いタイミングだったので結果的にはムダにならなかった」と内藤氏は打ち明ける。というのも、そのフィルタリングソフトは、一定以上の成果はあげたものの予想以上に機能しなかったからだ。

「メール本文や件名に含まれるキーワードや差出人アドレスを検知してはじくしくみのソフトだったのですが、PDF や画像がついたスパムが増えるなどしてそのマッチングが追いつかなくなっていたのだと思います」と言う内藤氏らは、導入後、先行ユーザーである協力ベンダーのアドバイスを受けながら、マッチングさせるキーワードを追加するチューニング作業に尽力。しかし、多種多用に姿を変えて届くスパムメールによりはかばかしい結果は得られず「限界を知った」(内藤氏)という状況になった。

そして、2007 年 2 月に新たなスパムメール対策の検討を始めることとなった。

1万を超える導入実績に信頼感

検討の俎上に載せたのは、Google Message Filtering を含む 4 つほどのプロダクト。

「機能特化したサーバーであるアプライアンスを導入するタイプ、ソフトウェアをインストールするタイプ、そして SaaS タイプに分かれましたが、検討の結果、第一ステップとして SaaS に絞りました」(内藤氏)。自社で資産を保有せず、メンテナンスなどの運用が一任できる点及び運用途中での設備投資が不要である点を重視した。その段階で、Google Message Filtering ともう 1 つのプロダクトに絞られた。次の段階として、約 1 カ月間、それぞれのプロダクトのテストを行う。もちろん無料であった。テストには、多くのスパムメールを受信していたが実際には使われていなかったといううってつけのドメインがあり、それを利用した。

「比較検討ポイントは、主にスパムメールの検知率と実績、そして価格でした。それらを総合的に検討した結果、Google Message Filtering に軍配が上がりました」(内藤氏)

検知率は、テストの結果では大差はつかなかった。しかし、Google Message Filtering はこの分野で北米を中心に当時世界 No.1 のシェアを占め、1 万 3000 アカウントという大規模の導入実績があった。

「当時、ほかに 1 万を超える導入実績のあるプロダクトはなかったと思います。その点で Google Message Filtering の信頼性はかなりのアドバンテージでした」(内藤氏)。

そして、大きな決め手となったのが価格である。

「Google Message Filtering は、もう 1 つのプロダクトの半額程度でした。当時、アジア地域での導入実績が少なかったことがその要因になったと思います」と内藤氏は言う。

タイトルだけで削除できない手間を削減

Google Message Filtering の導入効果は、冒頭でふれたとおりの劇的なものであった。JTB には海外とのメールのやりとりを頻繁に行う社員も多く、英文のタイトルというだけで "開封" せずに削除することはできない。内容を確認してから削除しなければならないので、その手間や時間は計り知れないものがあった。仮に、スパムメールの削除作業に毎日 1 人 1 分かけていたとしても、単純計算で 1 万 2500 人の全体では 208 時間、8 日分以上にも及ぶ。

「個別のユーザーにおいてその作業の必要が全くなくなったことが、90% 以上という高い満足度に表れています。さらに、会社全体の目に見えない経済効果が非常に大きいですね」と二子石氏。一方、問題が全くなかったわけではない。

「ユーザーの 10% 未満が必ずしも満足ではなかったわけですが、その要因はスパムではないメルマガなどもはじかれてしまうことでした」(内藤氏)。そこで、二子石氏らはブロックされたドメインの洗い出しや個別ユーザーからブロックさせないホワイトリストを申請してもらい、その設定作業を行う。

「作業は数週間程度で終わりました。それまでの溜まったリプライメールを削除するといった作業に比べれば、楽なものだったと思います」(二子石氏)。ちなみに、1 カ月間の導入テストは使われていないドメインを使用したため、正当なメールを受信することがなく誤検知までチェックすることができなかったという事情がある。

SaaS ならサイジングへの心配も無用

「Google Message Filtering を導入しないままであったら、サーバーの負荷がかさんでじきにリソース不足に陥り、スパムメールのために設備を増強しなければならないという皮肉な事態になっていたと思います」と内藤氏はもう一つの効用を指摘する。さらに、Google Message Filtering が SaaS 型であることのメリットも大きい。

「アプライアンスでは柔軟なサイジングができません。スパムメールは今日は 10 万通でも、明日には 20 万通来るかもしれないが、そうなったとしても社内的にすぐに増強という話は通りにくい。その心配をするのも嫌だし、どうしても多目の容量を導入しがちになると思います。SaaS であれば、メンテナンスフリーに加えてそんな心配も全く無用。この選択は間違っていなかったと思いますね」と内藤氏は締め括った。